Last Journey(72)ジェノバの夜
イタリアのジェノバに来ています。ファーストジャーニー(50年前の旅)では立ち寄らなかった町です。今回、ミラノ〜ローマ間が線路補修工事で通れないため、別ルートを検討していたところ、ふとジェノバが浮上しました。正直、私のジェノバ知識は「イタリアの港町」というくらい。
それでも、なぜか懐かしい響きのある名前でした。高校生の頃に聴いた、あるグループサウンズのバンドを思い出したのです。1960年代後半、日本は空前のGSブーム。全国で数えきれないほどのバンドが生まれました。その中に異色の存在がありました。名前は「ザ・ジェノバ(The Genova)」。
イタリアの港町の名を冠しながら、歌の世界はなぜかロシア情緒。代表曲は1968年の『サハリンの灯は消えず』。コーラスを重視したアレンジに、歌謡曲のようなメロディー。歌詞からは北国や異国の香りが漂います。その後も『さよならサハリン』など、寒い海の向こうを感じさせる曲を発表しました。
https://www.youtube.com/watch?v=b7VKvTPNG2Q&list=RDb7VKvTPNG2Q&start_radio=1
昨日、久しぶりにYouTubeで『サハリンの灯は消えず』を聴きました。懐かしい。あの頃、夢中でGSのレコードを聴きあさっていた自分がよみがえりました。今の若い人が聴いたら、逆に新鮮に感じるかもしれません。
そして今回のジェノバ滞在、実はとても面白い出来事がありました。それはホテルです。いつものように宿泊サイトで予約したホテルへ行くと、なぜかチェックインにやたら時間がかかります。やっと自分の番になったと思ったら…「同じ条件で部屋をご用意していますので、隣のホテルへどうぞ」とのこと。多分、オーバーブッキングです。
正直、「この重い荷物をまた転がすの?」と、ついてない気分で指定のホテルへ。ところが外壁は工事中で全貌は不明。中に入ってびっくり——超豪華! 部屋も広く、今回の旅で間違いなくナンバーワンの宿。
ネットで調べると、創業は1897年。イタリアでも最古級のホテルだとか。しかもジェノバには、ここよりさらに古い5つ星ホテルまであるそうです。駅近、スパや屋上テラス付き、歴史と贅沢のハイブリッド。普通なら手が届かない場所に、まさかのアップグレード。写真はあえて載せませんが、初めての“5つ星体験”でした。
こうして、思いがけない贅沢と共に、ジェノバの夜は静かに更けていきました。ところで、ジェノバは写真の被写体がいっぱい。いつかゆっくり歩きながら写真を撮ってみたい。でも暑い。来るなら冬がいいなあ。