Last Journey(61)最古のユースは最高だった!
ケルンから列車で約1時間半、小さな町アルテナに行ってきました。山の上には堂々とそびえるアルテナ城。ここは、なんと世界で最初のユースホステルの発祥地として知られています。
その始まりは1912年。地元の学校教師、リヒャルト・シルマン先生が、生徒たちのために「安全で、しかも安価な宿泊施設が必要だ!」と立ち上がり、アルテナ城の一部を使って世界初のユースホステルを開設したのです。この小さな一歩がやがて大きな波となり、世界中にユースホステルのネットワークが広がり、国際ユースホステル連盟へとつながりました。
…と、歴史を語ってみましたが、実は私もその流れに50年前、しっかりと乗っかっていた一人です。当時ここでお世話になり、その証拠がこの一枚の写真! 今回は「再現写真を撮るぞ!」というちょっとしたミッションを胸に、坂道をゼーゼー言いながら登りました。
お城の入り口付近に、ありました、ありました。50年前の写真に写る、左右の窓と真ん中の扉。テーブルだけはなくなっていましたが、思わず「惜しい!」と声が出るほどの再現度。そしてまずはパシャリと1枚。
ふと横を見ると…あれ? 見覚えのあるテーブルが。というわけで、そちらに移動して再チャレンジ。50年前の写真に写っていた外国人青年の代わりに、町から20分おしゃべりしながら一緒に登ってきた2人の若いアメリカ人女性に協力してもらい、再現写真に成功! なんとも感慨深い瞬間でした。
ユースホステルは「旅を通じた教育」「国際交流」「平和の促進」という理念のもと、今も世界中の若者や旅人たちに愛されています。アルテナ城内には、当時のユースホステルを再現した展示や記念館もあり、その理念と歴史を静かに、でもしっかりと伝え続けています。
ちなみに、当時の日記によると、山の上の城には歩いて行かず、街のソーセージ屋さんで知り合った親切なおじさんに車で連れて行ってもらったようです。いや〜、50年前の自分、なかなかの交渉上手だったようです。
今回も「もしかして、あのソーセージ屋さんがまだあるかも?」なんて淡い期待を抱いて探してみたのですが、残念ながら見つけることはできませんでした。というわけで、せめて気分だけでも…と、アルテナ城内のソーセージスタンドでホットドッグを注文。味は――青春のスパイスが効いて、とても美味しかったです。