Last Journey(54)イースタッド・スウェーデン・ジャズ・フェスティバル
今回の旅では、基本的に50年前に訪ねた町を選んでいます。ただし、いくつか例外も。その一つがイースタッド。実はこの町、当時の旅には登場していません。でも、どうしても行かねばならない理由があったのです。
昨年、札幌で私の大好きなピアニスト、ヤン・ラングレンのコンサートを聴き、楽屋で少し話をする機会がありました。そのとき彼がこう言ったのです。「スウェーデンに来るなら、イースタッド・ジャズ・フェスティバルにぜひおいでよ」と。ヤンに直接誘われてしまったら、もう断れません。ちょうどストックホルムからコペンハーゲンへ南下するほぼ途中にある町。地理的にも、音楽的にも、立ち寄らない手はない!
このフェスティバル、実はとても素敵な始まり方をしています。ヤンとイースタッド市長が、なんと列車の中で偶然に出会ったことがきっかけ。そこからジャズフェス構想が動き出し、今年でなんと16回目。4日間で約9,000人が集まるほどのイベントに育ったのです。町も歓迎ムードいっぱいでした。
列車の窓から見える風景は、まるで十勝そのもの。広がる畑、静かな森、そして…あまり人がいない(笑)。地元の人によれば、イースタッドの人口は約2万人。ちなみに、今回のフェスに日本から来たのは、たぶん私ひとり。
困ったのはチケット。ネットで予約しようとしたら、まさかの「システムエラー」。きっと私のスマホがスウェーデン語にびっくりしたのでしょう。でもご安心を。フェスの関係者トーマスさんが神対応。事前に連絡したら、「当日、受付で買えるようにしておくよ」と。本当にありがたい。会場でトーマスさんに会って、思わず握手に力が入ってしまいました。
ヤンのコンサートは町の劇場で。そして、もう一人楽しみにしていたマティアス・ニルソンは教会で。まずは両会場のロケーションをチェック。これだけでテンションがどんどん高まってきます。
イースタッド。50年前には訪れていないけれど、まるで昔から私を待っていたかのような町。ジャズとともに歩ける幸せを、静かな風の中でかみしめました。