Last Journey(66)列車での出会い -5-
チューリヒまでの7時間、各駅停車の旅が始まりました。一等車は普段それほど混まないので、今日も大丈夫だろうと席に座り、ブログを書き始めます。ところが、一つ目の駅で予想外の展開。大勢の人が乗り込んできて、私の前に立った女性を見てピンときました――これは、予約席の持ち主だ!
「すいません」と席を立ち、別の空いている席へ移動。すると、そこへ別の女性がやってきて「ここもダメ」との一言。彼女は自分の後ろの空席を指差し、「あそこなら大丈夫」と教えてくれました。
なるほど、予約席には予約者の名前が表示されるんですね。私が座った席には番号だけで名前がありません。
しばらくしてトイレから戻ると、その女性と目が合いました。「先ほどはありがとうございました」と再びお礼を言うと、彼女は微笑みました。実はその後、一等車はほぼ満席に。もしあのとき彼女の助言がなければ、席を確保できなかったかもしれません。
その方の名前はサビーネさん。フランスの大学で政治学を教えている教授です。日本に興味があるのは一目瞭然。息子さんのTシャツには、なんと「築地市場」の文字!さらに面白い話も。オーストリア人のお父さんは、かつてオーストラリアに3年間滞在し、その帰りに日本で3カ月間旅をしたことがあるそうです。1960年代と聞いてびっくり!
列車の旅は長かったけれど、また素晴らしい出会いがありました。私たちはメールアドレスを交換し、再会を誓いました。その後届いた最初のメールにはこう書かれていました。「チューリヒ駅での乗り換えになんとか間に合った!」たった5分しかなかったのに、家族4人でオリンピック記録を塗り替えたに違いありません。
2025.08.09 04:29