『Out of Our Hands』
ウィリー・ジョーンズ先生が他界して、初めて知ったことがあります。それは、先生の著書『Out of Our Hands』(City of Words)がすでに出版されていたことです。しかも、2022年に。私はまったく知らされていませんでした。
この本は、ウィリー先生が長年にわたって英文雑誌『ノーザン・ライツ』に執筆していた「北の職人シリーズ」のコラムをまとめたものです。1994年には、一度、『ノーザン・ライツ』の総集編として刊行したことがあります。大地に根を張り、地道に活動してきた北海道の職人たちの姿が、約50年の時を超えて、イギリスの出版社から世界に向けて紹介されたのです。その事実に、深い感動を覚えました。
この出版社「City of Words」を立ち上げたのは、イギリス出身の人類学者で作家のジョン・ライル(John Ryle)さんです。彼は2021年に英国女王よりOBE(大英帝国勲章)を授与されるなど、その国際的な活動は高く評価されています。
私が英文雑誌『ノーザン・ライツ』を創刊したのは1980年。あらためて振り返ると、自分でも驚くようなことをしていたのだな、びっくりしています。