Last Journey(30)思い出のユース
人生で初めてのユースホステルはブリュッセルでした。でも、そのホステルがあまりにひどくて、ユースを使った旅にすっかり自信を失っていました。ところが翌日、偶然知り合った東京からの大学生と一緒にブルージュへ行くことになり、その街がとても気に入りました。そこで「今日はユースに泊まろう!」ということに。そのユースはとてもきれいで、集まっていた若者もいい人たちばかり。おかげで、ユースを使った旅を続ける気持ちになりました。そんなわけで、ブルージュのユースは私にとって特別な思い出の場所です。
今回の旅では、当時のメモをもとに駅前から歩き始めました。なにせ50年の年月が流れていて、記憶はほとんど残っていません。歩くこと30分──「こんなに遠かっただろうか?」と自分でも疑いたくなるくらいでした。
途中、家の前で車を掃除していたおじさんに「この近くにユースホステルはありませんか?」と聞いてみると、「3つ目の通りにあるよ」との返事。もう涙が出そうになりました。「もしかしたら、50年前に泊まったユースかもしれない」──そんな思いで、その通りを歩いていくと、ありました! 建物を見て、当時の写真と比べてみると、今でも面影がしっかり残っていました。
受付にはアレクサンダーという青年がいて、日本に来たことがあるとのことで、少し日本語を話し始めてくれました。ラッキー! 日本にも興味があるようで、私の話をとても喜んで聞いてくれました。
現在は「ユースホステル」という名称ではなく、「Europa Hostel」という名前になっていました。建物は増築したようで少し違うみたいでしたが、雰囲気や空気感は変わっていません。
ただひとつ違うのは宿泊料。当時は確か朝食と夕食付きで1,800円ぐらいだったと記憶していますが、今は朝食付きで36ユーロ(約6,120円)とのこと。でも、時代は変わっても大切な思い出は色あせません。